これは今から12年前、息子がまだ3歳だった時の話です。
その日私は、4歳の娘と3歳の息子を連れて、
4〜5回行ったことのある、
ウチから少し離れた公園に遊びに行きました。
平日の午後で、人は少なかったですが
他にも数人の親子連れはいたと思います。
娘はさっそくブランコに乗りたがり、
息子は大型の木製滑り台を滑りたがりました。
いつものことだったのですが、
とにかく娘は活発な子で
私の言うことなど全く聞かず、勝手にブランコに乗り始め
1人でブンブン漕ぎ始めました。
「危ないから勝手に漕がないの!」と娘に声をかけながら
急いで息子に滑り台の階段を登らせ、
階段の先にあった渡り廊下状の木製の柵の中に入れました。
息子は大人しい子だったので、
おそらく1人では勝手に滑らないだろうと思ったのです。
また、娘の漕ぐブランコの近くに息子を連れて来るのは
過去に何回もあったのですが、
ぶつかる可能性があって危ないと思ったからでした。
息子をひとまず木製の柵の中に置き、
すぐに娘の元に駆けつけると、一緒にブランコに乗りました。
ブランコの所から滑り台は距離が近く、
息子の姿も見えていたので、
もし息子が降りてきそうになったら
ブランコを止めて急いで駆けつけようと思っていました。
2〜3分ブランコを漕いでいると、
紺色のタイトスカートのスーツにバサバサのロングヘア、
ちょっと公園には似つかわしくない格好と雰囲気の
50代くらいの女性が滑り台の方に近づいて行きました。
木製の柵の中にいる息子に声をかけている様です。
「小さな子が1人でいるから気にかけてくれたのかな?」と思い、
急いでブランコを止めて滑り台の所に駆け寄り、
「どうもすみませ〜ん(・・;)」と、その女性に声をかけました。
すると、女性はチラッとこっちを見たものの、
無表情で何も言わずサッといなくなりました。
「こんな小さな子を1人にするなんて、あんた母親としてどうなんだい?」
とでも思って気分を害したのかな…?
それにしても何か変な雰囲気の人…。
女性はその後すぐに公園沿いに路駐していた
キャデラックの様な古びたオンボロの、
四角い茶色の大きな車に乗り、
運転していた60代くらいのサングラスの男性と共に去って行きました。
息子はというと…
木製の柵の中で床に突っ伏してうずくまっているではありませんか。
え?泣いてる?
「1人にしてごめんね〜(>_<)
さっき知らないおばさんに声かけられてたの?」と聞くと
息子は顔を上げ
「一緒に山に行こうって言われた…。」と言いました。
「山…?それ、この公園の中の小山のこと?」と聞くと、
「違う…。車に乗って一緒に行こうって…。」
なにーーーーーー((((;゚Д゚)))))))!!
あの女、息子を誘拐しようとしてたんだ!!!!!!
息子は大人しい子なので
騒いだり助けを呼んだりも出来ず、
ただ困って床に突っ伏して
女に顔を向けない様にするしか出来なかったのです.°(ಗдಗ。)°.
こんな白昼堂々と、
人気が全然無いわけでもなく、
周りは四方を、それなりに交通量のある道路に囲まれた
視界の開けた公園で、
まさか誘拐なんてことが…。
あの男女からは薄汚い異様な雰囲気が漂っていて、
この辺の人では無さそうでした。
しかも、子供好きという感じでも無く、
誘拐した後の子供を
一体どうするつもりだったのでしょうか?
恐ろしさで、もう頭はパニックです:(;゙゚’ω゚’):
急いで2人の子供達を連れて
他に被害者が出ないうちにと、
近くの交番に駆け込みました。
ところが、この交番が
いつもパトロール中で無人の交番で、
机の上にあった電話からおまわりさんに何度電話をしても
全然出てくれず…。
結局、警察に通報も出来ず、
この誘拐未遂事件はうやむやになってしまいました。
あの時、私が息子から完全に目を離していた時間は、
実質ほとんどありませんでした。
息子のいた滑り台は
私のいたブランコから、走って10歩といったところで
そんなに離れていたわけではありません。
ただ、私が娘とブランコを漕いでいた間、
息子は3分くらい1人でいたと思います。
滑り台の周りには誰もいなかったので、
私が息子から離れた後に、滑り台の息子を見た人は
小さな子が1人で公園に置いて行かれている
と思ったかもしれません。
もし、あの時
息子から完全に目を離していたら…
本当に連れ去られてしまっていたかもしれません。
こんな恐ろしい目に合うとは思わず、
息子にも怖い思いをさせて
本当にかわいそうなことをしてしまいました(T-T)
それから公園に行く時は、
2人の子供達から距離を取らないように気をつけ、
私が保護者で側にいる、と誰の目にも分かるように
遊ばせる様にしました。
誘拐なんて事件は今はめったに聞かないし、
まさか自分の近くにそんな人間がいるとも
思っていませんでしたが、
幼い子供からは目を離さずに、
いつも注意していなければいけないんだと痛感した事件でした。