私は12年前の30代前半に
「卵巣嚢腫(のうしゅ)」という病気で手術をしました。
「卵巣嚢腫」にはいくつかタイプがあるのですが
私の場合は「皮様性嚢腫」という
卵巣の胚細胞にできる腫瘍の中に、
歯や髪の毛などの組織が含まれた
ドロドロした物質が溜まってしまうという、
20〜30代の女性に多いタイプの嚢腫でした。
「卵巣嚢腫」は初期の自覚症状は無いと言われていますが、
私の場合もそれまで全く自覚症状は無く、
初めて異常を感じたのは月経血の多さでした。
その日、何度ナプキンを変えても
追いつかないくらいの量の出血があり、
さすがにこれはおかしいのではと思い
夫に付き添ってもらい、病院へ行ってみることにしたのです。
まだ 3歳と4歳の子供達は
夫の両親に預かってもらいました。
診察の結果は…
診た途端「あ〜これは大きいよ。
これは良くないね、良くないな〜…。」という先生の声。
「何?何が大きいの?何が良くないの?」:(;゙゚’ω゚’):
と不安になって診察室に戻ると、先生から
「左側の卵巣に嚢腫が出来ています。
いわゆる”卵巣嚢腫“というものです。
もう6㎝くらいの大きさになっていて、早目の手術が必要です。
嚢腫が小さい場合は経過観察ということもあるのですが、
ここまで大きくなっていると茎捻転(けいねんてん)といって、
ちょっとした拍子に
卵巣の根元が回転してねじれてしまうことがあるんですね。
そうなると、激痛や大出血などに見舞われ
非常に危険な状態になって緊急手術になるんですよ。
それなら、今のうちに取ってしまった方がいいんですよね。」
との説明が…。
((((;゚Д゚)))))))手術!!!!
そして「卵巣嚢腫」って何!?
先生曰く、
「これから細胞を取って検査をしますが、
“卵巣嚢腫”は良性腫瘍のことが多いです。
診た感じも多分良性だと思いますので、
そこまで心配いりませんよ。」とのこと。
腫瘍…。
多分、良性…。
多分…(゚o゚;;
その日は細胞を取り、また3日後に病院へ行くことになりました。
茎捻転とやらになっては大変と、急に恐る恐る暮らしながら(・・;)
今日、病院に行って本当に良かったなと思いました。
「卵巣嚢腫」の自覚症状は、月経血の多さ以外、
夜、寝返りを打った際に、
姿勢によっては左の下腹部にキーンと強い痛みが走ることが
何度かあったくらいです。
でも、それとて筋肉が突っ張ったのかな?くらいの感じで
特に長く痛みが続くわけでもなかったので全く気にしていませんでした。
この「卵巣嚢腫」は、息子を出産した際には
病院から何も言われていなかったので
多分、この 3年間のうちに出来たものであると思います。
3日後、再度病院に行くと
細胞検査の結果は「良性」ε-(´∀`; )で、
手術は卵巣を残し、
腹腔鏡手術で行うことが決まりました。
先生に「私は今まで何度も執刀していますが、
腹腔鏡手術は患部に穴を開けるだけでいいので
開腹手術に比べて術後の回復が非常に早く、
患者さんの負担も少ないとても簡単な手術です。
通常1週間の入院で済みますので安心して下さい。」と言われ、
「そんなに簡単に済む手術なら良かったね。」と
夫とも安心して手術に挑みました。
2人の子供達は、4歳の娘は幼稚園に行っていたので
朝、私の母にお弁当を作ってもらって
夫が母に 3歳の息子を預けがてらお弁当を受け取り、
夫に娘を幼稚園まで送ってもらうことにしました。
息子は昼間は私の実家で預かってもらい、
幼稚園が終わる時間に、
今度は夫の母に幼稚園に娘を迎えに行ってもらい、
その時、私の実家の息子も一緒に連れて行ってもらって
夜ご飯まで夫の実家でお世話になりました。
私が入院した日に
私の母と夫が子供達を連れて付き添ってくれたのですが、
帰る頃になると娘は
「ママも帰ろー」と大泣きでなかなか帰れなく、
息子も黙ってシクシク泣いていて、本当に辛かったです(ToT)
入院した次の日、
先生のおっしゃった通り無事に手術は終わりましたが、
嚢腫の中に4㎝くらいの長さの骨が入っていたため、
腹腔鏡手術では取り出せず、
結局、下腹部を横に4㎝切る手術となりました。
そのためか痛みが強く、術後の朦朧とした中で
「痛い、痛い」と首を激しく横に振っていた記憶があります。
看護師さんに「首を振ると吐き気に繋がるから、あんまり振らないで。」
と言われましたが、とにかく痛くて耐えられないくらいでした。
私の痛がる様子を心配した、母と夫と弟の声が聞こえました。
「かなり痛がってるみたいだから、今夜は付き添いしてもいいですか。」
「ダメです。みなさん、術後はお一人で過ごされているんですから、
どうぞお帰り下さい。」
「だって、あんなに苦しそうじゃないですか。」
「大丈夫です。今夜は私がちゃんと見ていますから、お帰り下さい。」
「………では、よろしくお願いします………。」
「行かないで〜( ; ; )/」と、一瞬心の中で思いましたが
夫の実家では、子供達が夫の帰りを心配して待っているはずです。
ここは、1人で耐えるしかありません(;´д`)
今の会話から
担当の看護師さん、怖い人なのかな…と不安になっていたら
看護師さんはニコニコと戻って来て
「ご主人、大分心配されてましたよ。
腹腔鏡でも、やっぱり内臓は動かされてるし
ちょっと大きめに切ったから痛いかもね〜。
日に日におさまるとは思うけど…。」と
優しい言葉をかけて下さり、
さらに「あれ〜?海行った?
太ももに水着の跡バッチリだね〜。」と…(//∇//)
面白い方で安心しました(´ω`)
その日は痛み止めを飲んでなんとか眠り、
次の日も痛み止めでしのぎながら過ごしました。
強い痛みは2日ほどでおさまりましたが、
やっぱり数日間はクシャミが辛かったです。
手術から5日後くらいに、
やっと傷口を留めていたホチキスの様なもの 3針を外しました。
もう、痛みもそんなに感じません。
しかし、なかなか微熱が下がらないため
7日の予定の入院が1日伸びてしまいました。
退院後も微熱は続き、その後2週間くらいは本調子ではなかったと思います。
夫に「簡単な手術だって言われたのに、随分治らないね。」と
言われましたが、
思うに腹腔鏡手術が「簡単」なのは手術する先生側であって、
手術される患者にとっては、やはり手術は手術なのです。
確かに、開腹手術よりは傷の治りは早いですが、
それは表面的なことで、内臓はダメージを受けています。
その説明を本人と家族にもちゃんとしてもらわないと、
家族は、「どうして簡単な手術なのにそこまで痛がるんだろう」とか
「治りが早いと聞いてた割にいつまでも治らない」とか
誤解してしまうと思います。
その誤解が、「簡単な手術だったんだから、
いつまでも調子が悪いなんて言っていてはいけない」
というプレッシャーになって、とても辛かったのを覚えています。
今、術後12年経ちますが、幸い再発はしていません。
まず、「卵巣嚢腫」になってしまう原因自体が分かっていないそうなので、
予防のしようもないし、
病状が進むまで自覚症状が無いものなので絶対とは言えませんが、
少なくとも、最後に検診に行った1年半前までは大丈夫でした…。
…いや…また、検診に行かなければダメですね(ノ_<)
それにしても、あの頃
おばあちゃん達には本当にお世話になったな〜と
感謝しています(*´ω`*)
1週間以上、毎日 3歳児と4歳児2人のお世話は大変だったと思います。
私、夫双方の実家が近いので本当に助けてもらいました。
また、退院後に子供達に寂しくなかったか聞くと、
娘はとにかく「ママがいないからずっと寂しかった!」そうで、
息子は、「毎日、ボクだけおばあちゃんの家で
パパとお姉ちゃんだけでお出かけしてたから寂しかった…。」と言うのです。
朝、夫が私の実家に息子を預けてから、
娘を幼稚園に送って行っていたのを知らずに、
1人だけ置いていかれたと誤解していたのです!
「パパはお仕事だったから、〇〇ちゃんをおばあちゃんの家に預けた後、
お姉ちゃんも幼稚園まで送ってただけで、昼間は一緒じゃなかったんだよ〜。」
と説明すると、「な〜んだ、そうだったんだ(´ω`)」と
ちょっと嬉しそうにしていたので、
改めて聞いてみて本当に良かったです。
母に聞いていた息子の様子は、
一度も泣いたりぐずったりせず、毎日とてもお利口だったというので
すっかり安心していたのですが…
小さいながら一生懸命我慢していたのですね(>_<)
病気は、自分だけの問題ではなく、
家族や周りの人にも負担をかけてしまうので
なるべくしたくないものだと
振り返ってみて改めて思いました(・ω・`)
![]() 女性のための腹腔鏡下手術 わかれば安心 [ 伊熊健一郎 ]
|
![]() 卵巣の病気 月経の不調から卵巣がんまで (健康ライブラリースペシャル) [ 上坊敏子 ]
|