「アルコール、アルコール依存症、アル中、依存症、精神病院、精神科、病院、医者、小脳萎縮、アルツハイマー、ボケ、半身不随、トラウマ、アダルトチルドレン、機能不全家族、酒、最期、臨終」タグアーカイブ

アルコール依存症だった父の最期に、アルコール依存症寸前だった私が思ったこと。

私の父親は昭和3年生まれです。

昭和15年生まれの母とは、年の差婚の再婚で

初婚だった母と結婚した時からすでにアルコール依存症だった様です。

私が幼少の頃には

取手付ボトルに入った大容量のウィスキーが部屋に何本も置かれており、

そのボトルを2日で空ける勢いでした。

 

父は幸い、酔っても大人しいタイプで

暴力や暴言は一切無く、

むしろニコニコしながら泥酔し、前後不覚になる毎日。

朝起きた母が、リビングで倒れている父を怒鳴り、

時には皿を投げつけたり、

食べ残しを父の頭からかけたりという

暴力を振るって起こすという光景が恒例で

幼かった私にとって、酔った父より、

むしろその後、私へも激しく八つ当たりしてくる母が恐ろしかったです。

そんな父の飲酒は年を追うごとに酷くなり、

最後はアルコール性小脳萎縮で半身不随となり、

またアルコール性アルツハイマーも併発し、

79歳で精神病院の鍵付き病棟へ入らざるを得ないことになってしまいました。

幸いなのか、糖尿病を患っていても悪化せず、肝臓も丈夫だった様で

お医者さんにも、

「アルコールで小脳萎縮まで行く前に普通は肝臓がやられてしまうから、

あまり症例としては無いんですよ。」と言われましたが…。

 

父の最期は、精神病院に併設の内科病棟で、

病名は誤嚥性肺炎でした。

精神病院に入院してちょうど1年後のことでした。

どうしてこんなことに…

もっともっと早くにアルコール依存症の治療をしていれば…

いや、その前にお酒は有害だという教育が行き渡っていれば…

男は大酒飲みの方がイキだという時代の弊害なんじゃないか…。

 

父の入院していた精神病院には色んな依存症患者がいて

同部屋には覚醒剤中毒で入院している人もいました。

見舞いの家族など私達くらいのせいか

たいして整頓もされない薄汚れた大部屋の空間で

みんな訳の分からないことをずっと叫んだり、

ボーッと壁に向かってぶつかり続けていたり…。

看護師さん達は防弾ガラスの向こうのナースステーションに入ったきりで

ほぼ無視されて過ごす毎日。

お酒は合法ではありますが、

最終的には違法薬物中毒患者達と同じ部屋で

さながら地獄絵図の中で過ごさなければならない現実がそこにはありました。

 

私が、父が誤嚥性肺炎を発症して入院した内科病棟に泊まり込んだ夜、

隣の部屋に、同じ精神病棟から入院して来ていた年配の男性がいました。

その日、危篤に陥った様で深夜の廊下がバタバタと騒がしくなりました。

お医者さんが駆けつけて来て、看護師さんに

「ご家族に連絡して!最後の面会になるから。」と言う声が聞こえ

看護師さんが「はい!」と走っていきました。

しかし、ややしばらくして戻って来た看護師さんの

「奥さんと息子さんに連絡はついたんですが…

どちらもお見えにならないそうです…。」と言う声が聞こえてきました。

お医者さんは「仕方ない…。」と人工呼吸を行なっている様子です。

そして、しばらくして

「○月○日、○時○分、ご臨終です。」と言うお医者さんの声…。

隣の部屋で偶然にも一部始終を聞いてしまった私は

お医者さんと看護師さんにだけ見送られて

寂しく1人で亡くなっていった男性の人生を考えずにいられませんでした。

あの男性は、きっと、家族にはすごく迷惑をかけて来たんだろうな…

結婚して子供にも恵まれて幸せだった時もあったはずなのに…

どうしてそうなっちゃったのかな…

こんな最期を迎えることが分かってたら

お酒や薬に最初から手を出したかな…。

当時、私自身もアルコールのコントロールが難しくなっていた時だったので

この出来事は心に深く深く刺さりました。

 

この2日後に、父も危篤に陥り、帰らぬ人となりましたが、

むしろホッとした自分がいました。

だって、治って帰るのがあの地獄の精神病棟しか無いなんて

かわいそう過ぎると思ったからです。

当時、私の子供達は2人共幼稚園児で

私が実家に通って面倒を見るとかいうレベルではありませんでした。

母は、大人しいとは言え

毎日毎日、前後不覚になるまで泥酔する父には非常に辛辣で

半身不随でアルツハイマーになった父が精神病院に入院する直前には

母から父への暴力と暴言がエスカレートしていたのです。

 

私にとっての父はとても優しくて、

再婚して晩婚でやっと出来た最初の子の私をいつも可愛がってくれた人でした。

アルコール依存症になる前には優秀だった様で、

当時としては珍しく、地域でも最難関の四年生大学を出ていました。

最初の結婚には失敗して、奥さんに逃げられたと聞きましたが、

そのショックからしばらく引きこもりとなり、一気に大量飲酒が始まり、

アルコール依存症になっていった様でした。

 

父は自営業で飲食店を営んでいたこともあり、

昼から飲酒していても、周りに咎められることは無かった様です。

その環境がますますアルコール依存症を悪化させ、

早期の治療機会を逃したと思います。

また、酔っても大人しく

家族にもニコニコしているだけだったので

母も特に問題意識を持っていませんでした。

ただ、酔ってトイレの場所を間違える、

食べ物の散乱する中で泥酔して爆睡している、

酔っている時の話しは一切覚えていない、

こういったことは母を怒り狂わせ、

父がことに可愛がっていた私に激しく八つ当たりをすることで

父への見せしめにしていたのではないかと思います。

 

こうした要因が重なったことで治療機会を得なかったアルコール依存症の父は

アルコールによってどんどん体と心を蝕まれ、

最後は精神病院に入院してしまいました。

私も父が亡くなった後5年間くらいはお酒を毎日飲んでいたのですが、

不思議なことにある日を境にアルコールが嫌になって一切飲めなくなり、

それ以来、この8年間全く飲んでいません。

あんなひどい依存症患者の最期を見て

お酒は怖いと思っても辞められずにいたのに…

今では、もしかしたら父が助けてくれたのかもしれないと思っています。

アルコール依存症一歩手前だった私が、ある日急に一滴もお酒を飲みたくなくなった話し。

 

あのまま、お酒を飲み続けていたら…

私も最期は精神病院に入院して

危篤になっても夫や子供達にも来てもらえないどころか、

夫や子供達の心にも大きな傷を残して

その後の人生を生きづらくさせていたと思います。

 

お酒は合法で、依存症になる人もいればならない人もいます。

でも、依存症になったら最後、

違法薬物中毒患者と同じ環境で過ごすのです。

ということは、合法か違法かではなく、

お酒も恐ろしい薬物であるということです。

作用は覚醒剤ほど急激ではありませんが、

長年かけて、人の体と心を蝕み、

その周囲の人間にも深い傷を残すのです。

 

テレビでお酒のコマーシャルが流れているのを見ると

どうしてこんな毒物を

「爽快」とか「のどごし!」とか「リラックス」とかいう言葉で

オシャレな若い女性タレントさんや、大人の雰囲気の役者さんに演じさせて、

いかにも「良いものだからみんな飲もう」という風に宣伝するのか疑問に思います。

アルコールは少しならむしろ体に良いとも聞きますが、

少しじゃ抑えられなくなった時、

一気に暴走を始め、その人とその人の周りの人生を奪うのです。

 

私もお酒の美味しさや楽しさは知っています。

でも、今思うと本当に美味しかったのかは疑問です。

むしろ、アルコール臭は不味いと思うのが普通の感覚なのではないでしょうか?

また、酔って楽しいのは相手がどうこうじゃなく、

ただ自分がお酒によって脳のタガが外れている状態で、

普段は抑制されているものが解放されているという楽しさなのです。

お酒に溺れてしまうのには

自分に自信が無いとか、

いたくない環境に我慢していなくてはいけない辛さとか、

それぞれに要因はあると思います。

でも、それは負の感情であることは間違いなく、

アルコールでまやかしの幸せ感を手に入れた様な気になっているのに過ぎないのです。

要は、お酒に騙されている状態です。

どれだけお酒に逃げてすがっても、

最初、楽しい顔を見せてくれたはずのお酒は

最後は私と私の周りの人達を地獄に突き落とすのです。

これは、私がお酒を受け付けなくなってすぐに気付いたことで、

今まであれだけ楽しかったお酒が急に悪魔に見えた瞬間でした。

もう騙されない!

気付けば幼少の頃からずっと私と私の家族を苦しめて来て、

大事なお父さんの人格も体も人生も破壊したお酒…。

今、もしお酒の量をコントロールできなくて苦しんでいる方がいたら

どうかお酒の本当の姿に気付いて欲しいです。

お酒は味方じゃありません。

味方のフリをして入り込んで来る詐欺師です。

自分では辞めることが難しいと思うので、

病院に行って相談して下さい。

お酒なんか飲まない方がずっと自分に自信が持てるし、

周りからも信頼されるし、

周りの人達も自分も楽しませることが出来ます。

 

何より、また今日も飲み過ぎてしまったという劣等感や、

二日酔いの苦しさを家族の前や職場で隠す辛さ、

心配して注意して怒ってくる家族の抱える嫌な気持ち、

そういったこと全てから解放されます。

 

私も未だに、本当にお酒を飲めなくなって良かったと

心の底から思うことが何度もあります。

前の私なら、こういうお酒の席は絶対断らず、

家族との時間よりお酒を飲む時間を優先させてたな、とか

こういったシチュエーションでは昼からでも必ずお酒を飲んで

時間の感覚が分からなくなって帰りが遅くなり、

家族に心配かけてたな、とか

お酒を飲んで気が大きくなって言わなくていいことを言ってたな、とか

こういうところでも当たり前にお酒を飲んで酔っ払い

子供達に心配かけてたな、とか…

数え上げればキリがありませんし、

お酒を飲む人なら思い当たることばかりだと思います。

 

お酒を飲まないことで見えてくるものはたくさんあります。

今後はコロナの影響でオンライン化が進み、

お酒はもう人付き合いの手段では無くなる日も近いでしょう。

私自身、過去を振り返ってみても

お酒の席で得たものは何もありません。

むしろ、嫌な思い出や恥ずかしい失態ばかりです。

 

私の知っている父はいつもお酒に酔っていました。

入院してシラフだった時の父は

いつもよりニコニコもしてなかったし、

いつもより優しくなかったと思います。

もしかして、あの優しかった父の顔は

お酒によって作り出されていただけで

本当の父の素顔は全く違うものだったのかもしれません。

そう考えると

私の育った家族は、お酒によって完全に破壊されていたと言えます。

 

今、私は自分の大事な夫と子供達に、

お酒によって私が経験した、

辛くて怖くて悲しくて寂しくて虚しくて、

お酒を飲む本人からではないけども、

暴力と暴言を受ける理不尽な思い、

不信感でいっぱいな思いをさせないで済んでいるので

本当に良かったと思っています。

 

自分にとって何が一番大切で、

何を一番に優先させなければならないのか…。

お酒は最後に自分を助けてはくれません。

必ず裏切ります。

どうか、お酒の表の顔に騙されないで下さい。

アルコール依存症寸前だった私が、

お酒の本当の怖さを痛感したお話でした…。